焦りすぎてただけ。

あたしは歩くのが遅い。よそ見ばっかりしてて全然前を見てないから。最後のデートになった日、あたしたちは珍しく手もつないでないし腕も組んでなかった。彼はすたすた歩いてて、あたしはいつも通りよそ見ばっかりしてた。彼はあたしの数歩先くらいにいた。すぐに立ち止まって何かを見てるあたしのことを彼は気にしてくれて、たまに立ち止まってあたしのことを待っててくれた。あたしは彼のそんな行動に気付いて小走りで彼のところに行った。彼は手を差し出してくれた。こんなささいなことが一番嬉しかった。
別れて2ヶ月。あたしは付き合ってるとき、常に彼に追いつかなきゃって一人で勝手に焦ってた。もっと落ち着いて自分のペースで追いついていく過程を考えるべきだったのかもしれない。