9分8秒の通話。

穏やかな電話だったな。
彼は眠い目こすりながら出てくれた。一番不安に思ってた質問をした。
「もしあたしが家出したらどうする?」
あたしは必死で「もしもの話だよ」って言ったけど、きっと彼は何かあったんだって気付いてたんだと思う。
「一緒にいるよ」
「ずっと?」
「うん、ずーっと」
その言葉だけで今の私には十分だった。嬉しくて安心できて泣きそうになったけど彼に気付かれたくなくてお礼だけ言って話を変えた。
彼となら大丈夫って思えた。あたしの居場所はここにある。